神秘学とはなにか

<神秘学概論>

ルドルフ・シュタイナー[著] 高橋巌[訳] ちくま学芸文庫[出版]

「神秘学」の「学」とは学問である。学問とは、一定の原理によって説明される、体系化された知識と、理論的に構成された研究方法などの総体をいう語である。

次に、「神秘学」の「神秘」だが、神秘とは、人間がその知識や能力をもってしても全容を把握する(=知る)ことができない事物のことで、神や、「究極の真実」、「霊的世界」などがこれに含まれる。

人間は、一般的な事物について、それを言葉で表現して伝えることができる。だが、神秘は人間が把握している既存の事物との関連で表現することができない。すなわち、神秘は、三次元的な科学的経験、あるいは法則として知覚することはできず、霊的世界などを直接体験したり、間接的に認識することによってのみ知ることができる。

例えば、光を見たことのない盲人に、光を見るのがどんな感じなのかを伝えることは難しい。光を見るという体験を、その他の感覚、聴覚や触覚、味覚、嗅覚で説明することはできない。

神秘とは、そのようなものだといわれる。また、体験することも知ることもできない神秘が、最終的に残るとする考え方もある。

では、そもそも「神秘学」というとき、それは何を意味するのだろうか? 学術的な定義があるのかどうかはわからないが、神秘学とは個々人の神秘体験のみを基本とする「神秘主義」に対して、神秘体験を知識として体系化しようという意思と、得られた知識を通して高い霊的境地を得る為の方法を研究する学問である。

結局、神秘学は何を目指すのか? 今の私の理解においては、それは「私自身(人間存在の謎)を知ること」である。

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コメント

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