<なぜ、あの店は生ビールが120円でも儲かるのか>
鬼頭誠司[著] ダイヤモンド社[出版]
1.味については否定しない。
2.自分は料理ができないと開き直る。
3.その商品の良し悪しを客観的に判断する。
4.筋を通す。
5.職人を信頼する。
居酒屋コンサルタントの父親からの課題に娘の女子大生が挑戦するという話ですが、飲食店経営の舞台裏が垣間見られると同時に、一般企業の管理職として自分よりも専門知識を持った部下をどう扱うのか、そのヒントが得られる、なかなか示唆に富んだ内容の本です。
冒頭に引用したのは創業時からお店を仕切っている「板さん」に対して、女子大生の主人公が対応に苦慮しているのを見かねた父親からのアドバイスですが、これはそのまま一般企業におけるいわゆる「専門バカ」に対する処方箋ともなります。
1.否定はせずに言い回しを変えて、自分の希望を伝える。例えば、「すごく良いのだけれと、原価と売値を考えるといまいちじゃないかな? もっとコストパフォーマンスをあげるにはどうしたらいいかな?」
2.自分には専門的な知識が無いから、あなたの力が絶対に必要なのだと訴える。
3.その商品は素人からみたらどうなのかを伝える。市場で購入するのは素人だから。
4.筋を通すのは、男には絶対に必要。何かを指示する場合はまず、最初に「親方」へ伝えること。「親方」が知らないことを「親方」の部下から「親方」へ伝わったなんていうのは最悪。そうなったら、まず間違いなく「親方」はへそを曲げてうまくいかなくなります。
5.優秀な職人(専門職)には信頼して任せることが大事。細かいことには口出し無用。
しかし、大事なことは「料理を出すか出さないか」の最終判断は、ホール(営業)がすべきものであるということ。ホール(営業)よりもキッチン(職人・専門家)が、力関係で上であるような店は、この本によると「ダメ店」に共通するところだそうです。
ところで、この本の主人公の「あすみ」さんですが、この名前は何かのアナグラムでしょうかね?「A S U M I」、並べ替えると「I S A M U」。